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タイトルとレーティングの関係について

前の記事の続きですか?
あれは実際に編み出したノウハウの効果を確認してからみなさんに紹介しないと無責任でしょうということで、
人柱たる私がタイトルを取って効能が証明されるまで更新は待ってください。
はい。

さて、今日はふと気になって調べてみたことをつらつらと書いていこうと思います。
テーマはずばり、みんな大好き連盟レーティングが、タイトルを取ることとどれぐらい関係してるかということですね。

連盟レーティングは公式戦における強さを示す、現状で最も信頼できる指標であり、
んでタイトルを取る人は当然オセロがトップクラスに強くないといけないわけで、
よって、ふつうに考えるとレートが高い人がタイトルも取っているということになろうかと思います。
ただ、タイトルを取るには単に安定した強さだけではなくて、一大会で強豪相手に連勝を続ける
集中力や勝負強さ、あるいは「一発を持ってるか」等々の要素も関わってくると考えることもまた自然であって、
その人の平均的な強さの水準を示しているレートが高いからといって、
かならずしもタイトルを取れるわけではない、という考えもまぁ一理あろうということになります。
んで、この問題に関してはこれ以上理論的に考えても意味はないというか、
実際に調べてみるに勝る解法はないと思いますので、実際に調べてみることにしました。

やり方は単純で、メジャータイトルが三個になった2006年から2015年までの10年間の
名人・全日本チャンプ・王座・世界チャンプのタイトルホルダーの、
その年の平均レートがいくつだったか、そしてその値はその年の平均レートランキングで何位だったかを
地道に調べていくだけです。
地道に、といっても現在の連盟レーティング表は項目毎の高度なソート機能を備えており、
歴代タイトルホルダーに関してもhttp://www.othello.org/congrats/champions.htmlの素晴らしいまとめを見れば一瞬で分かるので、実際に私がやることは簡単な照合作業に過ぎませんけどね。

さて、前置きはこのあたりまでにして、
さっそく見ていきましょう。あ、段位はどうしよう、優勝当時の段位とか分かんないんで、うーん、
調べたら分かりますけどめんどいのでお名前だけで。

2006年
名人 中島哲也 平均R:1527(1位) 
全日本C 中島哲也 平均R:1527(1位)
王座 為則英司 平均R: 1484(4位)
世界C 為則英司  平均R: 1484(4位)

2007年
名人 富永健太 平均R: 1562(1位)
全日本C 大野友弘 平均R: 1385(15位)
王座 中島哲也 平均R: 1469(6位)
世界C 富永健太 平均R: 1562(1位)

2008年
名人 宮岡環 平均R: 1387(19位)
全日本C 飯島隆宗 平均R: 1224(97位)
王座 滝沢雅樹  平均R: 1467(6位)
世界C ぼらっし

2009年
名人 高梨悠介 平均R: 1602(1位)
全日本C 滝沢雅樹 平均R: 1540(2位)
王座 岡本一樹 平均R: 1467(8位)
世界C 高梨悠介 平均R: 1602(1位)

2010年
名人 高梨悠介 平均R: 1560(1位)
全日本C 佐々木惣平 平均R: 1335(43位)
王座 滝沢雅樹  平均R: 1524(3位)
世界C 高梨悠介 平均R: 1560(1位)

2011年
名人 信川紘輝 平均R: 1439(10位)
全日本C 岡本一樹 平均R: 1463(6位)
王座 戸田智也 平均R: 1389(23位)
世界C 信川紘輝 平均R: 1439(10位)

2012年
名人 岡本一樹 平均R: 1494(6位)
全日本C 高梨悠介 平均R: 1645(1位)
王座 栗田誠矢 平均R: 1531(3位)
世界C 高梨悠介 平均R: 1645(1位)

2013年
名人 岡本一樹 平均R: 1525(5位)
全日本C 宮崎裕司 平均R: 1416(16位)
王座 山川高志 平均R: 1517(6位)
世界C 岡本一樹 平均R: 1525(5位)

2014年
名人 末國誠 平均R: 1580(1位)
全日本C 岡本一樹 平均R: 1564(4位)
王座 末國誠 平均R: 1580(1位)
世界C 末國誠 平均R: 1580(1位)

2015年 (平均レートと順位は2015年12月11日現在のもの)
名人 高梨悠介 平均R: 1596(1位)
全日本C 末國誠 平均R: 1504(7位)
王座 高梨悠介 平均R: 1596(1位)
世界C 高梨悠介 平均R: 1596(1位)


以上です。
思ったよりも疲れた。

さて、せっかく10年分のデータを書き出すことができたので、
少しだけデータを分析&解釈しておきましょう。

まず、データ全体からいえることは、やっぱりタイトルを取るにあたって、日頃の連盟レートって大事ってことですね。
もうちょっと専門的な言葉で言い換えると、「レートのランキングの高さ」と「タイトルを取れるかどうか」には明らかに強い相関関係が
あるということになるでしょう。
こうして並べてみるとタイトルホルダーたちは錚々たる面々ですが、
そのほとんどが当該年度の平均レートランキングの上位者たちです。
もちろん、連盟レート的にいえば「波乱」といえるような大会があったことも同時に分かるわけですが、
少なくとも私から見れば連盟レート下位から下剋上でタイトルをとったプレイヤーたちはみな強豪プレイヤーで、
このリストに名を連ねるのにふさわしい方たちばかりだと思います。タイトルホルダーに変な人なし。
(※もっとも、タイトルをとったという実績を残したから、いっそう強豪として認識されて、
   ここにいても違和感がないように見えるのでは、という指摘もありえそうですが、まぁ何にせよ勝った人が強い。)

次に、その「波乱」についてですが、
データから示唆されるのは、連盟レーティングと最も乖離した結果が生じやすいメジャー大会、
すなわち波乱が起こりやすいメジャー大会は全日本選手権であるということです。
もっとも、10年かそこらのデータだけでは必ずしもそうとは言い切れない可能性があって、
たまたまここ10年の全日本で波乱がよく起きただけかもしれません。
しかし、他のメジャー大会よりも一試合少ない6試合トーナメント制である、
さらに予選が熾烈な地区では強豪プレイヤーが予選落ちしたりするため、
出場者64名がかならずしもレート上位者というわけではない、
などの特徴がある全日本は、比較的(あくまでも比較的)運によって優勝しやすい大会形式だといえるでしょう。

それとは対照的に、連盟レート上位者の優位が際立っているのが世界選手権で、
過去10年で6回も、当該年度の国内平均レーティング一位のプレイヤーが優勝しています。
予選で13戦もの試合をこなさないといけず、しかも決勝トーナメント2試合は3番勝負を勝ち抜かなければいけない
世界戦は、偶然に結果が左右されにくい大会形式であるといえるかもしれません。

全日本と世界戦のデータから、連盟レーティングは、試合数が多い(=運の要素が介在しづらい)大会ほど結果に響いてくることが分かります。
まぁでも連盟レーティングの平均値自体が多くの試合数をこなしたうえでの強さのランキングなわけですから、
試合数が増えるほど結果がレーティングに近似してゆくのは当たり前っちゃ当たり前だといえるでしょう。


以上のデータ&分析結果から、私がこれからタイトルを取りたいオセラーたちに言えることは、
「基本的にタイトルを取る人たちは高レート者であることが多いから、
高レート者になることがタイトル奪取の近道である」という至極真っ当でつまらない結論に加えて、
「ただしどうしてもレートを上げることができない人は、レート的な意味で波乱が起こりやすい全日本選手権に全てを賭けろ」
ということでしょうか。
僕は全日本選手権がんばろうと思います(三つの中で一番苦手ですが…)、。


補論 連盟レーティングの地域差について

連盟レートが在住地域によって上がりやすさ・上がりにくさが異なるのは間違いないと思います。
所属するプレイヤーの平均レートも、高レート者の人数も、大会数も地域によって全く違いますからね。
レートの上がりやすさに差が出るのも当然です。

しかし、その一方で、タイトルホルダーたちの多くは超高レート者でした。
仮に「レートが上がりにくい地域に住んでるから、強さの割にレートが低い」人がたくさんいるなら、
その類の低レート者がレーティング的な意味での「波乱」を起こしてタイトルを奪取していそうなものですが、
ここ10年ではそのようなケースはあまり見当たらない気がします(強いて言えば佐々木さんはそれに該当?)。
よって、タイトルの争奪戦という観点でいえば、各地域のレートの高さはそのままタイトルの競争力を表しているし、
地域間のレート差は結局は地域間のレベル差そのものなんじゃないか、という気もしてきますね。

ただ、ちょっとややこしい話になりますが、そうなってるところの因果関係(原因→結果)には注意すべきです。
単に高レート者がたくさんいる地域ではレートが上がりやすくて、そうしてレートを上げた選手がレート通りにタイトルを取っている、
というのはレートを原因として見た場合の話で、
実は高レート者がたくさんいる地域ではそれだけレベルの高い争いになりやすいから、強い選手が生まれやすくて、その結果、高レート地域のオセラーがタイトルを取っている、という図式なのかもしれません。
実際は、高レート地域でプレイヤのレートが高くなりやすいのは、単に周りのレートが高いことに加えて、
高レート者との闘争によって棋力が向上するという、環境(地域のレート水準)と棋力の相乗効果説が濃厚な気がしますね。
この理論が正しければ、これからも地域間のレート差と棋力差はともに広がる運命にある気がします。
それに対して今のところ有効な処方箋は思いつきません、だいぶ長いこと書いたので疲れが…
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昔は……

 いつも楽しく読ませてもらっています。ぜひ、今後とも更新をお願いしたいです。

 さて、僕が全日本に始めて出た20年ほど前は、東京ブロックが飛び抜けて強く、出場者は東京と同じリーグをこぞって避けたがったものでした(当時の全日本は午前が4人のリーグ戦、午後がその1位者のトーナメントでした)。
 当時はネットで対局ができる環境ではなかったので、強豪が集い、対局機会に恵まれた東京で、記事のような相乗効果が強かったのだと思います。
 ネットが普及して、棋力の底上げが進み、地域の格差は当時から比べると格段に少なくなりました。
 興味深かったのは、そのような格差が強かった状態から、インフラが進んで緩和されて、それが再び広がるとすれば、再び平衡→格差拡大に転じる要因は何なのか。素朴に疑問に思いましたので、考えるところがあればぜひ聞かせてほしいです。

No title

 すみません、記事中は「地域」とは言ってませんですね。
 ただ、平坦化の方向に進んでいたのが、再び反対の向きに変わるとすれば、それはとても面白いと思いました。

No title

いつもお世話になっております。
興味深い情報&ご質問ありがとうございました。

仰る通りで、地域のレベル差をなくす最大の鍵は、
高レート地域に住んでなくても強い相手と対戦できる、インターネットだと思います。
ちょうど僕がオセロの大会に出始めた2004年頃は、
様々な地域からネットオセロから強豪の若手が続々とデビューし、各ブロックで盛り上がりを見せていた時期だと思います。

では、なぜレートや棋力格差が再び拡がりつつあるのか。私はその原因もまたネットオセロにあると思います。ネットオセロが以前よりも衰退して、
各地区で以前のように強豪がネットからデビューしなくなったことで、再び20年前のような状態に
戻りつつあるのではないかと思います。
もちろん、20年前とは異なり、インターネットで強い人と対局することは可能ですから、在住地域のレベルやレートが低くても独力で棋力を上げることは今でも可能です。しかし、生オセロでの強敵との実戦練習なしに
ネット練習のみでトップクラスの大会成績を収めるのは、かなりの才能が(それこそベンシーリーのような)必要なんじゃないでしょうか。

というわけで以前から主張しているように、
オセロ界はネット対戦以外からの新規プレイヤーの流入ルートを確保する必要があると思います。
人材の数さえいれば、最初はレベルが低くても
ネットで練習しつつ地方大会で切磋琢磨し合うことで、
以前のように再び東京に追い付け追い越せな流れを
地方でも作ることも可能なのではないでしょうか。

ありがとうございました

 インターネットが格差をなくし、そのネットの衰退にともない格差が再び広がると言うことですね。

 生オセロ、ネットオセロそれぞれの特性があって、実際のところ、どちらでも強くなることは可能だと思います。ただ、よくおわかりだと思うのですが、ネットオセロにはその特性における負の面があって、それを上手く消化できないことには、成長がある点で止まるように思います。ネットだけで突き抜けるほど強くなる人というのは、負の面を解消しているか、克服するだけの量や才能を使っているのだと思います。
 その特性を理論的に分かる時期というのは、すでに精神的に大きな推進力を失っており、そこが(理屈だけ分かっていても)強くなるのが難しいということなのだと思います。
 僕もその一人なのですが……

 ありがとうございました。また、新しい記事を楽しみにしております。
プロフィール

すりっぱ

Author:すりっぱ
性別…♂
お住まい…京都
年齢…29
オセロ大会暦…11年
オセロの段位…六段

三大メジャー大会の最高成績
名人戦:3位
全日本選手権:4位
王座戦:準優勝
こう書くとあたかも強い人であるかのように
見える不思議
今年の目標はこの中のどれか一つを
更新することです。
…って書いとけばもうこのスペースを
毎年更新する必要もなさそうだ、と。

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